ハラール認証取得、豆腐を用いた独自製法の新食材「TOFU MEAT」/株式会社トーフミート
山口県の株式会社トーフミートは、地元の老舗豆腐メーカーから事業承継し、画期的な代替肉「TOFU MEAT(トーフミート)」を開発。昨年ハラール認証を取得しました。
一般的に流通している「大豆ミート」との違いや特徴、今後の展望などについて代表取締役の村上英雄氏 にうかがいました。
弊社は、おいしくて体にやさしい次世代プラントベースフード「TOFU MEAT」を開発し、製造販売しています。
山口県からの紹介で、とある豆腐店の事業承継を持ちかけられたのが、TOFU MEAT誕生のきっかけです。私自身はもともと、豆腐どころか食品製造にも全く縁がなかったのですが、話を聞くうちに興味を持ち、事業継承を決断するに至りました。
もともと好奇心が旺盛で、「面白そう」と思うとすぐに試してみたくなってしまう性分です。
前社長に教えを請い、数えきれない失敗を重ねて豆腐作りをマスターしました。
後に分かったことですが、事業継承した豆腐は、一般的に広く販売されている豆腐とは全く異なる製法でした。
その最大の特徴は、遠心分離機を使った「生搾り製法」を採用していること。豆腐の原料になる豆乳を生のまま搾ることにより、大豆の苦味やえぐみになる成分が取り除かれています。
生搾り製法の豆腐店は、現在全国でも数えるほどしか残っておらず、遠心分離機に至っては、使っているところを聞いたことがありません。
さらなる特徴として、豆乳作りで発生する泡を消す「消泡剤」と呼ばれる添加物も使っておらず、手作りの機器で対応していることが挙げられます。
国産大豆のうまみを凝縮し、甘みとコクがある昔ながらの豆腐。全くのド素人が、その製法をマスターするだけでも苦労しましたが、その先にも更なる困難が待ち受けていました。
まず、継承してはみたものの肝心の販売先が全く見つからなかったのです。転機が訪れたのは、そんな中で出展した九州のヴィーガンフェス。実行委員長より「すごい豆腐ですね!この豆腐を使って新しいプラントベースフードをつくってみませんか?」と、お声掛けいただいたのです。
提案を受けて目指したのは、ハラール、ヴィーガン、ベジタリアンに対応し、冷凍保存できる全く新しい商品。再び実現までの道のりは長く非常に厳しいものになりました。
昆布や椎茸の粉末で旨味を加え、無添加の醤油、有機黒糖など、使用の許されている調味料に限定して味を調節するなど試行錯誤を繰り返しました。
豆腐はもともと冷凍できませんので、冷凍対応にも苦労しました。3年に及ぶ悪戦苦闘の末、2019年にTOFU MEATの開発に成功しました。
未来に繋げたい日本各地の美味を発掘する「食べるJAPAN 美味アワード」に出品したところ、全国準グランプリを獲得。環境への配慮に加え、味と品質を評価いただくことができました。
販売を開始し、「さあ、いよいよこれからだ!」と意気込んだ直後、新型コロナウィルス感染症が拡大。パンデミックの影響が直撃し、予定されていた商談は軒並みキャンセルとなりました。ぽっかりと空いた時間を埋めようと、大豆の有機栽培に初挑戦してみました。農業未経験者がいきなり満足な収穫を迎えられるほど甘くなく、ほぼ失敗に終わりました。
その後は、徐々にリモート商談の機会が増え、現在はシンガポールをはじめとする東南アジアや、ヨーロッパなどのヴィーガン比率の高い国、また中東諸国からも引き合いをいただいています。
無印良品 新宿店でのポップアップイベントでは、「臭みのない代替肉を初めて食べた」「無添加なので子供にも安心して食べさせられる」などの声をいただき、大好評でした。
大豆ミートの場合、その独特の臭いが苦手という人が少なくありません。また大豆の脱脂加工にヘキサンが使用されています。大豆の出所も不明なことがほとんど。健康意識の高い方は、この製法の大豆ミートを避ける傾向があります。
一方、TOFU MEATは大豆ミートと製造プロセスが異なる全く別の食品です。その臭いのなさ、味の良さに驚かれることが多いですね。その理由を調べるべく、検査を実施したところ、大豆特有の臭いの原因であるn-ヘキサナールの含有率が、大豆ミートの90%以下でした。
青臭さを感じないため、スイーツなど幅広い料理にオススメできます。
今のご時世、格式あるホテルや旅館ともなれば、食のダイバーシティ対応が必然的に求められます。ムスリムやヴィーガン向けに食の対応を意識する一方で、これまでは大豆加工品特有の匂いが原因で、おいしい料理の提供が難しいというジレンマがあったと聞きます。
TOFU MEATを使うことで、これら食の制限をお持ちの方々にもおいしい料理の提供が可能になるのです。
既に、ホテルのレストランやカフェで活用していただくことが増えています。乳製品を使わないヴィーガン向けの高タンパクスイーツなどにも展開できるでしょう。
今後は、ハラール対応工場を持つ国内企業と共同で、TOFU MEATを原料とした様々な輸出用ハラール商品も開発していきたいと考えています。
<事業者概要>
事業者名:株式会社トーフミート
本社所在地:〒755-0027 山口県宇部市港町2丁目1-35
事業内容:食品製造販売業
公式サイト:TOFU MEAT(トーフミート)
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