ポーク風味ビーガンミートがハラール認証をとれない理由
Groovy Japanを運営するジェイ・ラインのマレーシア法人JL Connect Malaysiaでイスラム市場進出支援に携わっている橋本です。
「ポーク風味ビーガンミートは植物性由来原料を使用しているが、ハラール認証はとれない」インドネシアのハラール認証制度の一翼を担っているLPPOM MUIから、興味深い記事が配信されました。ハラールの重要要件の一つは、禁止されている動物性原材料の不使用です。ポーク風味ビーガンミートはこれをクリアしているにも関わらず、なぜハラール認証を取得できないのでしょうか?
ポーク風味ビーガンミートが忌避される理由
ポーク風味ビーガンミートは、本物の肉に近い香り、食感、味を持っており、大豆や小麦など植物性蛋白質から作られています。一般的には、ムスリムに禁止されている成分は含まれていません。それにも関わらずLPPOM MUIは、ムスリムはこれを食べないように助言しています。
2003年のインドネシアウマラー評議会(MUI)第四号ファトワ(Fatwa:イスラム法に基づいた、宗教的指導者による勧告や法解釈)では、次のように述べられています。
- 製品は、不誠実や虚偽につながる名前や記号を使用してはいけない。
- 製品は、伝統的な物を除いて、禁止されている物や動物、特に豚と中毒を起こす食物の名前やシンボルを、使用してはいけない。
- 製品は、豚肉風味やベーコン風味等の禁止されている物または動物の味や香りを生み出す成分を使用してはいけない。
- 製品は、ウイスキー、ブランデー、ビール等の禁止されている食品や飲料の名前意を使用してはいけない。
マレーシアのハラール認証基準にも、同様の規定があります。
- 製品名に豚やアルコール名等を使うことはできない。
- 同じ商品群にハラールとハラールでない商品がある場合、両者を同じ名称にはできない。
- ハラール認証製品を取り扱っている企業は、ハラールでない商品の取り扱いができない。等
このような認証基準は、ムスリム消費者の誤解を招かないようするために設けられています。ポーク風味ビーガンミートは、この部分をクリアできていないのです。
ハラール日本酒もハラール認証は取れない
同様の事例が、既に日本製品でも発生していると思われます。例えば、日本企業によって、ノンアルコールの日本酒が開発されています。もしこの商品に「ハラール日本酒」という商品名称を付けた場合、この事例から考えて、インドネシアやマレーシアのハラール認証は取得できないでしょう。
日本人とムスリムで異なる「ハラール」から受ける印象
マレーシアの事業家に、企業や商品名に「ハラール」という言葉を使うことについての意見を伺った事があります。「ハラールは神聖な言葉なので、会社名や商品名に使うことを好ましいとは思わない。特にムスリム以外が使う事に対しては、違和感がある。」と言っていました。ムスリムでない日本人とムスリムが「ハラール」という言葉から受ける印象は、異なっているように思われます。
日本では、ムスリムが安心して消費できる事を伝えるために、商品や企業名に「ハラール」や「ハラル」を付ける事が普通に行われています。しかし、マーケティング視点から考えると、それを使っていない名称も考えてみることも必要かもしれません。
参考
Pork Vegan, using plant-based ingredients but cannot be halal-certified
2010年に日本果物のドバイ輸出事業に参画したことからイスラム市場との係わりが始まり、その後マレーシアとインドネシアを起点に現地企業家との事業を行う。
訪日ムスリムツアー企画と現地営業、日本と東南アジア間でのビジネスマッチングやマーケティング等を経験する。
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